アクティブ かむかむ ウォーキング

ウォーキング+α ウォーキングの効果アップ  体も心も健康にアクティブかむかむウォーキングをご紹介

アクティブかむかむウォーキング2021

アクティブかむかむウォーキング2021

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の日常生活への影響が長期化しています。
在宅でのテレワークが推奨され、友人とのコミュニケーションもオンラインになるなど、ニューノーマルと呼ばれる暮らし方も2年目に入りました。ウイルス感染を避けようと自宅で過ごすことが増え、運動する時間が減った人も多いでしょう。
長引く自粛生活で不安やストレスを感じるようになった人も確実に増えています。こうした行動制限や人とのつながりの低下によって「コロナうつ」などメンタルヘルスを損なう恐れもあります。
日本における不安症やパニック症に関する治療・研究のパイオニアであり、精神科医として長年クリニックを開業されている貝谷久宣先生によると、一人暮らしのお年寄りが友人と会えなくなったことで不安や抑うつ状態が深刻化して来院するなど、コロナ禍による環境の変化で精神的な失調を訴える人が増えているそうです。
貝谷先生にストレスに強くなる生活習慣について教えてもらいました。

貝谷 久宣KAIYA HISANOBU

精神科医、医療法人和楽会理事長、京都府立医科大学客員教授、岐阜大学医学部病院教授

名古屋生まれ。
神経病理学、生物学的精神医学の研究に従事し、ミュンヘン・マックスプランク精神医学研究所に留学。
自衛隊中央病院神経科部長を経て1993年2月開院。
著書多数。NHK「ガッテン」「美と若さの新常識」など多数出演。

不安な気持ちを抑え、心を安定させる「幸せホルモン」を増やそう

私たちの体には、「幸せホルモン」と呼ばれる脳内物質があります。例えば安らぎを与える「オキシトシン」や、やる気を引き出すとされる「ドーパミン」、そして精神の安定をもたらし脳を活発に働かせる神経伝達物質の「セロトニン」がその代表です。 朝起きたときの目覚めがよく、心身が活動的になっていくのは、このセロトニンのおかげです。やる気や幸福感をもたらしたり、集中力を高めたりしてくれる作用もあります。
セロトニンがきちんと分泌されていれば、健康で若々しい体が維持されやすく、ポジティブな気持ちで日々を過ごすことができるといわれています。
しかし外出自粛にともなって運動不足になったり、不安を抱えたストレスフルな生活が続いたりすると、セロトニンを出す神経系の働きが弱ってきて、セロトニンそのものが不足しがちになってしまいます。
セロトニン分泌のバランスがくずれると、気分が落ち込みやすかったり、集中力が続かなくなったりするほか、目覚めが悪くなったり、疲れやすくなる傾向があります。

セロトニンは睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの原料になることも知られています。つまりセロトニンの不足は、寝つきが悪くなったり、昼夜逆転の生活になったりすることにつながる恐れもあるのです。
ある研究では、うつやパニック障害(※1)などメンタルヘルスの不調がある人は、セロトニンによる効果の不足が影響しているともいわれています。

パニック障害(※1)とは?

突発的に動悸や呼吸困難にみまわれる「パニック発作」が起きたり、発作がまた起こるのではないかという「予期不安」で日常生活の行動が制限されてしまったりする障害のこと。一生の間にパニック障害になる人は100人に3、4人といわれ、男性よりも女性に発症しやすいとされています。

ウォーキングで「幸せホルモン」が増える

幸せホルモン、なかでもセロトニンを増やして、その働きを活性化させるには「有酸素運動」をすることが大切とされています。 有酸素運動とはことばの通り、息を止めずに酸素を体に取り込んで筋肉を動かす運動で、ウォーキングやジョギング、水泳などが代表的です。有酸素運動によって血中の中性脂肪や内臓脂肪を十分な酸素を使って燃焼させるだけでなく、運動しながら呼吸を続けることで心肺機能を高める効果が期待できるとされています。
また有酸素運動によって全身の血行がよくなると、脳内のセロトニン神経系の機能が高まることが知られています。つまり、適度な運動を続けることでセロトニンの働きが活性化され、コロナ禍のストレスフルな生活のなかであっても心の安定がはかれることが期待できます。
もうひとつ注目したい研究があります。うつ病の患者さんの治療についての研究です。うつ病の薬だけで治療しているグループと、薬に適度な運動を取り入れた治療をしているグループに分けて比較したもので、運動を取り入れたグループのほうが早く、かつ完治する率も高いということが報告されています。
また別の研究では、運動を始めて5分後くらいからセロトニンの分泌が増え、20~30分でピークに達するといわれています。 一方で長時間の運動や激しい運動をしたことで極度に疲れると、かえってセロトニンの分泌は減り、セロトニンの効果も低下するので注意が必要です。

セロトニンの働きを活性化させるには、気持ちよく汗をかくことができ、笑顔で続けられるウォーキングがおすすめです。
無理のないペースで毎日30分程度を目安に歩いてみるとよいでしょう。

ウォーキングで「記憶力」もアップする

最近の研究からウォーキングのような軽めの運動は、記憶を司る「海馬」の機能を高めてくれるという報告がされています。
脳機能を活性化するには、以前は早歩きなど「中強度」の運動が必要と考えられていましたが、通常のウォーキングの「超低強度」であっても効果が得られることがわかりました。

運動によって肝臓や骨格筋で作られるIGF-1(インスリン様成長因子)が血液を通じて脳に運ばれ、海馬の神経新生を促す。また筋肉細胞から分泌されるホルモン、イリシンによっても海馬の神経新生を活性化させる。

気分よく運動することで筋肉から神経成長ホルモンが分泌され、それが海馬の神経細胞を増やすことを促して認知機能を高めます。また海馬はストレスに弱いとされています。中強度を超えるキツめの運動を続けると、血中にストレスホルモンが増えて海馬の活性が落ちてしまうこともわかっています。

大事なのは軽めの運動であっても無理なく続けられること。 脳をリフレッシュさせ、認知症やうつを予防するには、毎日のウォーキングがおすすめです。

朝のウォーキングでさらに元気に

さらにプラスαの情報をお伝えします。
ウォーキングをするなら、できれば朝の時間帯がおすすめです。
なぜならセロトニンは日光を浴びることでも生成されるからです。またセロトニンの分泌以外にも、朝のウォーキングには効用があります。朝、目覚めて日光を浴びると体内時計がリセットされますが、このリセットによって感情をコントロールする自律神経を整えることにつながります。朝のうちにセロトニンがしっかり分泌されると、その後の日中の時間帯、つまり14~16時間後にセロトニンを原料として睡眠を誘うホルモン「メラトニン」が作られます。よい睡眠をとることで疲労回復が促せるので心身ともに健康への好循環が得られるというわけです。

心身ともにストレスに強くするには、「朝に太陽を浴びながらウォーキングをする」ことが、より効果的な予防、健康法といえます。
「なんだか気分が晴れない」
「運動不足が気になる」
という方は、ぜひ朝の30分のウォーキングを習慣にしてみましょう。

大事なのは軽めの運動であっても無理なく続けられること。 脳をリフレッシュさせ、認知症やうつを予防するには、毎日のウォーキングがおすすめというわけです。

咀嚼でもセロトニンアップ!

セロトニン神経の働きを高めるには、有酸素運動や日光を浴びるほかに「咀嚼」も有効と考えられます。
筋肉の収縮と弛緩を一定のリズムで繰り返すリズム運動を行うと、5~30分でセロトニンの分泌量が増えることがわかっています。ガムを噛みながら歩くリズム運動は、時間や場所を問わずにすぐできるのでおすすめです。
実際にガムを噛んだときのセロトニン量を計測すると、ガムを噛み始めてから5分でセロトニンが増え始め、30分噛み終わった後でも、直後の30分間は増え続けたという実験結果があります。
もちろんウォーキング後の朝ごはんをよく噛んでしっかり食べることで、よりいっそう健康的で活動的な毎日が送れるようになるでしょう。

マインドフルネスでセロトニンアップ!

「マインドフルネス」をご存知ですか。日本では「瞑想」として古くから伝えられています。「余計なことを考えずに、いまこの瞬間(たとえば呼吸)に意識を向ける心の状態」で、瞑想は心を整え、またセロトニンの分泌とも関係があります。先に紹介した有酸素運動とは違って瞑想に入ると呼吸数が減少します。
体内の二酸化炭素が増え、脳幹部において二酸化炭素(炭酸ガス)が増加することで脳幹部のセロトニン分泌の機能が活性化されると考えられています。外出ができないときでも手軽に家の中でできるセロトニンアップの方法として、マインドフルネスを取り入れてみてはいかがでしょうか。